私の事務所は、組織内弁護士の自立副業相談を行っています。
2月19日の週刊エコノミストの、弁護士、会計士、弁理士の特集記事をよみました。その中で、弁護士に関して「法律事務所で経験を積んだ中途採用者が入社する中、新卒採用されたが、育成がうまくいかないまま時間が過ぎた企業内弁護士が退職し始める懸念が複数の弁護士から出ている。十年たって退職しても法律事務所への転職は難しく、キャリアが行き詰まる恐れが指摘されている。」という記載がありました。育成がうまくいかなくてもその会社にあった仕事はできているはずで(会社それぞれのニーズがあるのでそもそも育成されたかどうか確認のすべがない)、これはどういうことなのかよくわかりません。
ただ、近い将来法律事務所に就職するために最初に企業内弁護士になる選択をした弁護士の場合には、訴訟経験がなかったり、クライアントを獲得したり法律相談での臨機応変な対応、勤労時間とか法律事務所で求められる水準を企業内弁護士が満たさないことがありうるとは思います。他方企業内弁護士が別の会社の企業内弁護士になることはできるはずですが、そうしないのは、本人がやはり法律事務所の弁護士になりたい、ゼネラルカウンセルとか、会社経営に関心がないからなのでしょう。私はこうした純粋に会社法務や商事法務をやりたいだけで経営やマネジメントに関心がない組織内弁護士(ポストに限りを感じ関心を捨てざるを得ない方を含む)がかなりいると思っています。会社も40歳くらい過ぎれば幹部候補とそうでないが見えてくるのであって、大企業において組織内弁護士だから全員部長だの執行役員などになれるものではありませんので、定年までに法律事務所を立ち上げたりパートナー参加したいという選択がある方が弁護士らしいと思います。そういう人たちは早く法律事務所としての受任ノウハウを積まなければいけないのですが、弁護士業をしようとしても副業が制限されていたり、可能であっても外出が自由でないなど、本人の気持ち次第ですが先が見えた瞬間、いわゆる飼い殺しのような状況になっていると思います。
法律事務所の経験が長い弁護士にとっては組織内弁護士は業界知識と人脈を広げ、将来法律事務所を開業したり所属する自身の実績作りのため役立つ反面、そもそもに法律事務所の経験の薄い方は、弁護士業を自分でやってみたほうが良いです。ライフアンドワークバランス甘んじたり(就職当初はそうしなければならなかったとしても)、気兼ねして外出しにくい環境を言い訳にせず、副業許可を申請し、一般民事系の下請け共同受任でもいいのでどんどん仕事を取っていくべきだとおもいます。受任技術を得るための、副業、外出が無理な環境ならそれができる会社に早めに転職しておきましょう。いうまでもないこことですが、案件記録は自宅ではなく、きちんとオフィスを借り、あるいは協力法律事務所を見つけて管理し、ノキ弁経費を払い、弁護士登録もきちんとやりましょう。まだ若いうちから固定経費を渋ったり、無料セミナーしか参加しない、弁護士保険、貸しオフィス、確定申告その他無縁の生活はやめましょう。30代で独立したり、パートナーになる法律事務所の同期の弁護士と同じリスク感覚をもって将来に備えましょう。
そういう心配・相談があるかたはいつでもご相談ください。
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